こんにちは。越谷市せんげん台のパーソナルジム「トータルボディメイキングスタジオI’s(アイズ)」です。
「私、太りやすい体質なんです」という言葉を、カウンセリングでよく聞きます。食べても太らない人がいる一方で、少し食べるだけで体重が増える——この実感を持っている方はたくさんいます。「体質」という言葉は、「生まれつきそうなんだ、仕方ない」という諦めと一緒に使われることが多い。
では「太りやすい体質」は本当に存在するのでしょうか。正直に答えます。存在する部分もあります。でも多くの人が思っているより、その影響は小さく、そして変えられる部分の方が大きい。今日はその話をします。
遺伝が肥満に与える影響——正直なところ
「体質」の話をするとき、遺伝の話から始めるのが正直だと思います。
一卵性双生児と二卵性双生児を比較した研究によると、肥満の遺伝率は40〜70%程度とされています。遺伝子が体重に影響を与えることは、科学的に確認されています。FTO遺伝子・MC4R遺伝子など、肥満リスクと関連する遺伝子変異が複数見つかっています。
これは「太りやすい遺伝子を持っている人がいる」という意味では正しいです。遺伝子は、基礎代謝の高さ・食欲調節ホルモンの感受性・脂肪の蓄積のしやすさ・食事への報酬反応の強さなど、体重に関わる様々な要因に影響します。
でも重要なのは、「遺伝率40〜70%」の意味です。これは「体重は40〜70%が遺伝で決まる」ではなく、「同じ環境に置かれた場合の体重の差の40〜70%が遺伝的要因で説明できる」ということです。環境が変われば、遺伝的な傾向が出るかどうかも変わります。
もっと直接的に言えば、「肥満遺伝子」があっても、それが発現するかどうかは生活習慣が大きく左右します。肥満リスクの高い遺伝子変異を持っていても、定期的に運動をしている人では、そのリスクが大幅に低下することが研究で示されています。遺伝子は「弾を込める」けれど、「引き金を引くのは生活習慣」——そういう関係です。
最大の個人差——NEATという見えない違い
「同じくらい食べているのに、あの人は太らない」という経験の多くは、食事量の違いではなく「NEAT」の違いから来ていると思います。
NEATとは「Non-Exercise Activity Thermogenesis」——運動以外の身体活動によるエネルギー消費のことです。歩く・立つ・姿勢を変える・身振り手振りで話す・そわそわ動く——これらすべてがNEATです。
驚くべきことに、NEATの個人差は非常に大きく、研究によっては同じ体格の人でも1日に1,000〜2,000kcalの差が出ることが確認されています。「じっとしていられない人」「常に動いている人」は、そうでない人より毎日大量のカロリーを消費しています。これは「体質」に見えますが、厳密には「生活上の動きの多さ・少なさ」です。
「食べても太らない人」の多くは、NEATが高い。意識して運動しているわけではないけれど、一日中こまめに動いている。食事量が同じでも、活動量が全然違う——これが「体質の違い」として感じられていることが多い。
NEATは遺伝的な傾向もありますが、習慣によって変えることができます。立ち仕事を増やす・移動を歩きに変える・こまめに動く習慣を作る——これらでNEATを上げることで、「太りにくい体質に近い生活」を作ることができます。
腸内環境が「太りやすさ」を変える
近年、腸内環境(腸内フローラ・腸内細菌叢)が体重に与える影響が注目されています。同じ食事をしても、腸内細菌の種類によってカロリーの吸収量が変わることが研究で分かってきました。
一卵性双生児(遺伝子が同じ)でも、腸内細菌が異なると体重に差が出ることがあります。「同じものを食べているのに太り方が違う」という現象が、腸内環境の違いから来ている部分があります。
腸内細菌は食事・運動・睡眠・ストレスによって変化します。高繊維食・発酵食品・多様な植物性食品——これらが腸内細菌の多様性を高め、「効率よくカロリーを吸収しすぎない」腸内環境に近づける可能性があります。「腸内環境を変えることで太りやすさが変わる」という視点は、体質は変えられないという固定観念を崩す研究です。
「あまり食べていないのに太る」問題
「自分は少ししか食べていないのに太る」という感覚は、多くの方が持っています。これについて、少し正直に話をします。
食事量の自己申告は、系統的に少なく見積もられることが研究で繰り返し確認されています。1990年代に行われた有名な研究で、「カロリー制限をしているのに痩せない」と主張する人たちを代謝室(全カロリーを正確に計測できる施設)で調べたところ、ほぼ全員が実際の摂取カロリーを低く見積もっていたことが分かりました。平均して本人が申告した量の約50%多く食べていました。
「食べていない」は嘘ではありません。本人はそう感じている。でも無意識の食べ物——料理中のつまみ食い・飲み物のカロリー・間食・ソースや調味料・「少しだけ」という一口——これらを合計すると、思っているより多くなっていることがよくあります。
また、活動量の自己評価も過大になりやすい。「よく動いている」と思っていても、実際に計測すると座っている時間の方が多かった、ということもある。食べ量と消費量の両方で、認識と現実にズレが生じやすいです。
食事量を過小評価するのは、意図的な嘘ではなく認知の問題です。人間は食べた量・食べたものの記憶精度が低く、特に「ながら食い」「つまみ食い」は記憶に残りにくい。これは体質の問題ではなく、認知の傾向です。記録することで初めて「こんなに食べていたか」と気づく方が多いのは、このためです。
「友人と同じだけ食べているのに太る」の本当のところ
「あの人と同じものを食べているのに、私だけ太る」という経験を語る方がいます。この感覚は本物ですが、「本当に同じ条件か」を確認していくと、多くの場合そうではないことが分かります。
体格が違えば、必要なカロリーが違います。体重60kgの人と80kgの人では、同じ活動をしても消費カロリーが違います。「同じだけ食べる」が同じ体重増加にならないのは当然です。
年齢が違えば、代謝が違います。20代と40代では、筋肉量・ホルモンバランス・基礎代謝が変化します。同じ食事でも、年齢によって体への影響が違うことがあります。
筋肉量が違えば、基礎代謝が違います。同じ体重でも、筋肉量が多い人は安静時の消費カロリーが多い。筋肉量の多い友人と「同じだけ食べている」ことが、体重変化の差を生んでいることがあります。
食事の場面だけを比べていても、一日の活動量の全体を見ていません。「同じランチを食べた」けれど、午後の活動量が友人の方がずっと多かった、ということはよくあります。
「同じ食事で体重変化が違う」という経験は本物です。でもその原因の多くは、「太りやすい体質」ではなく、こういった条件の違いから来ています。
「体質」として語られるものの正体
では「太りやすい体質」と感じさせるものの正体は何か。整理してみます。
基礎代謝の個人差。同じ体格でも、基礎代謝には個人差があります。研究では同じ体重・身長・体組成の人でも、基礎代謝に15〜20%程度の差があることが確認されています。これは遺伝的な要因も含む本物の個人差です。
NEATの多い少ない。前述の通り、日常的な動きの量の個人差は非常に大きい。これは「体質」に見えますが、実際には「動き方の習慣」に近く、変えることができます。
食欲調節の感受性。満腹を感じるタイミング・食欲を抑えるホルモンへの感受性に個人差があります。「お腹いっぱいになりにくい」「すぐお腹が空く」という感覚の差は、本物の生理的な差です。
腸内環境。前述の通り、腸内細菌の構成によってカロリー吸収効率が変わります。
これらは確かに存在する個人差です。でもどれも、「変わらない体質」ではなく「変えられる部分がある傾向」です。基礎代謝は筋肉量を増やすことで上がります。NEATは習慣で変えられます。食欲調節は食事の内容・睡眠・運動で変わります。腸内環境も変えられます。
「体質は変わらない」という思い込みの危険
「太りやすい体質だから仕方ない」という考え方は、行動に直接影響します。変えられないと思えば、変えようとしない。変えようとしなければ、変わらない。これは「体質」によって太っているのではなく、「体質は変えられない」という信念によって行動が制限されている状態です。
心理学で「固定マインドセット(Fixed Mindset)」と呼ばれる傾向があります。能力・特性が固定されていて変えられないと信じることで、挑戦や変化への取り組みが弱まる。「太りやすい体質」という言葉は、この固定マインドセットを体に適用したものです。
体質を「変えられないもの」として捉えると、「どうせ何をやっても無駄」という感覚になりやすい。少し食事を変えて、少し動いて、それでも大きな変化がないと「やっぱり体質だから」と結論づける。でも短期の取り組みで劇的な変化が出ないのは、体質のせいではなく、変化には時間がかかるからです。
「体質」は結果に影響する一つの要因ですが、最大の要因ではありません。生活習慣・食事・運動・睡眠・ストレス管理——これらの方が、体質より大きな影響を持っています。
「太りにくい人」の実際
「食べても太らない人」はどんな人か、観察していると見えてくることがあります。
多くの場合、その人たちは「意識せずによく動いている」。仕事中も立っている時間が長い、移動は歩く、家の中でもよく動く、落ち着きなく動いている——NEATが高い状態にある。
「よく食べるのに太らない」と見えても、話を聞くと「食べすぎた翌日は自然に食欲が落ちる」「お腹いっぱいになると食べるのをやめられる」という感覚を持っていることが多い。食欲の自然なバランスが機能している。
また、若い頃から体を動かす習慣があって、筋肉量が多い——基礎代謝が高い状態にある——というケースも多い。「生まれつき太らない」のではなく、「ずっと動いてきたから太りにくい体になっている」という方が正確なことが多い。
「太りやすい」「太りにくい」の多くは、生まれた時点で決まっているものではなく、長年の生活習慣が積み重なって作られた状態です。だとすれば、今から生活習慣を変えることで、その状態も変えられます。
正直な答え
「太りやすい体質は存在するか」という問いへの、私の正直な答えです。
「程度の差」は存在します。遺伝的な要因・基礎代謝の個人差・腸内環境の違い・食欲調節の感受性——これらによって、同じ生活をしていても体重への影響に差が出る部分はあります。「簡単にはいかない人」は確かにいます。
でも「何をやっても変わらない体質」は、ほぼ存在しません。エネルギーのバランス(消費と摂取の差)という物理的な事実は、どんな体質でも変わりません。太りやすい傾向があっても、それに対応できる生活習慣を作ることは可能です。
「体質のせい」にすることで楽になれる気持ちは分かります。でも「体質だから仕方ない」という思い込みが、変化の可能性を閉じてしまっているとしたら、それは体質より体の変化を難しくしている本当の原因かもしれません。
体質は出発点の違いです。ゴールへの距離が人によって違うということで、ゴールに向かう道がないということではありません。難しさの程度が違っても、変わる可能性は誰にでもあります。「自分は特別に難しい」と感じている方ほど、実は変わったときの変化が大きいことが多い。難しい出発点から変化した体は、簡単に戻らない体でもあるからです。諦めることが一番もったいない選択です。
「体質」を変えた人たちに共通していたこと
「太りやすい体質」だと信じていた方が体を変えていくプロセスを見ていると、共通のパターンが見えます。
最初は「自分は体質的に無理だ」という諦めを持って来ます。何度か試みたけれど変わらなかった、という経験を持っている。この諦めが最初のハードルです。
変化が起き始めるのは、多くの場合「食事量を実際に記録し始めたとき」です。記録することで「思っていたより食べていた」に気づく。この気づきが体質論を相対化します。「体質のせいじゃなくて、食べすぎていたのかもしれない」という認識の転換が起きる。
次に「動く量を増やした」ことで変化が加速します。筋トレ・ウォーキング・日常の動きを増やす——NEATが上がることで、「体質のせいで消費できない」と思っていた部分が改善されていきます。
そして時間が経つにつれて「思っていたより体は変わる」という実感が積み重なり、「体質だから」という言葉を使わなくなる。これは体質が変わったのではなく、生活習慣が変わったことで「太りやすい体質だと感じていた状態」から変わった、ということです。
「太りにくい体質」を育てることはできる
最後に、少し前向きな話をします。
「太りやすい体質に生まれた」かどうかに関わらず、「太りにくい状態に近づく」ことはできます。これは体質を変えるというより、体質を決める要因を変えていくということです。
筋肉量を増やして基礎代謝を上げること。日常の動きを増やしてNEATを高めること。食事の内容を変えて腸内環境を改善すること。睡眠を整えて食欲調節ホルモンのバランスを保つこと——これらは「体質」ではなく「状態」であり、変えることができます。
「生まれつき太りやすい」は、出発点の話です。でも10年後の自分の体がどうなっているかは、出発点より今日からの生活習慣によって決まります。体質は過去のもの、状態は今日から作るものです。
「体質だから」という言葉を「今の状態はこうだ」に置き換えてみる。そして「今の状態は変えられる」という視点を持ってみる。この転換が、体づくりの入口になることがあります。
「体質」と上手く付き合う視点
最後に付け加えておきたいことがあります。「体質を言い訳にするな」という話をしたいのではありません。
確かに人によって難しさは違います。同じ努力で同じ結果が出ないことはある。それを「体質のせい」として受け入れることが、精神的な安定につながる場合もあります。「私はもともとこういう体なんだ」という受け入れが、自分を責めることを減らしてくれることもある。
大切なのは、「体質だから何も変わらない」という諦めと、「体質はあるけれど、できることをやっていく」という受け入れを区別することです。前者は行動を止める。後者は行動を続けられる。
自分の体の傾向を理解して、それと上手く付き合う方法を探すことが、長期的な体の管理には有効です。「なぜ自分はここが難しいのか」を知ることで、そこへの対処ができる。体質を否定するのではなく、体質を理解して付き合っていく——これが10年・20年という長い時間でうまくいく体づくりの視点だと思っています。
「体質だから」と諦める前に、一度話しましょう。
まずはカウンセリングから。